昆虫は動物の中で最も成功しているグループとも言われますが、海にはほとんど存在しないのが不思議です。
この疑問に対する答えは昔から様々な説が提案されていましたが、最近公開された研究によって、説得力のある説明がされています。
要は、昆虫が海で生存できない主な理由は、甲殻類との競争に負けるからです。その根拠として、甲殻類はカルシウムを使って殻を硬化させるのに対し、昆虫は酸素を使って殻を硬化させます。陸上環境ではカルシウムが少なく酸素が豊富なので、昆虫が優位に立っています。一方、海中ではその逆で、甲殻類が優勢です。
(淡水環境では、カルシウムも酸素も不足しているため、両者の勢力が拮抗しています)
海で繁栄している昆虫の例としてよく挙げられるウミアメンボも、実際には海上で生活しているため、酸素不足には悩まされていません。
逆に、ワラジムシやダンゴムシのような甲殻類が陸上で成功しているのは、これらの種が昆虫が登場する前にすでに確立された生態的地位を持っていたからです。
ちなみに、個々の種で最も多くの質量を占めている生物は、甲殻類の一種であるナンキョクオキアミとされています。
「どの生物が最も繁栄しているか」という問いには、一概に答えが出るわけではありません。