ゴリラとの対話をはかってきました。
「力が欲しいか」
そのゴリラは、私の頭のなかに直接語りかけてきました。
「力?」
「そうだ、力だ。小さきお前に、大いなるゴリラの力をくれてやろうというのだ」
「その力があれば、お前たちゴリラに勝てるというのか」
「これは異なことを。我らゴリラは万物の頂点。自然の理に逆らうことはできぬ」
「そうか」
私は、決然として言い放ちました。
「ならば、お前から授かる力など不要。私は、私自身の力でゴリラを超え、打ち砕く」
「おもしろい。おもしろいぞ小さきものよ。
いいだろう。いつか来るべきその日を、我は心待ちにしているぞ」
そして、ゴリラは黙して語らなくなりました。
心なしか、その口元に微かな笑みを浮かべながら。
あと、ここまで書いてから気付きましたが、たぶんこれはオランウータンです。